おもしれー女に瞠目する4月

主に花粉症で死んでいた4月のエンタメ記録いきます! おいしいもの情報もあるよ。
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ギリギリのバランスで成り立つ「おもしれー女」列伝
まずは先月できなかった本コーナーから。
人物評伝って好きなんです。それが強くて賢くて魅力的な女たちの評伝ならなおさら! 男性著者が「女友だち」について書く、と聞くと危うい立てつけでは……とまずは思うし、タイトルの「神聖なる」も帯文の「聡明にして」も、男が女を形容する言葉としては結構ムズムズする。ムズムズすると思いながら、好きな著者なので手を出してしまいました。本文もムズムズするところがないではないけれど、目次の時点でわかる通り、取り上げられている「おもしれー女」たちがそれはそれはおもしれーので、「おもしろくねーはずがねー!」一冊でした。
1970年に新宿で「ゴダール・マニフェスト」のチラシを配っていた川喜多和子。コロンボの空港のタクシー乗り場で偶然行き合い、「イタリア語もできないのに映画を専攻しているのは、映画に対する侮辱です」と言い放った若桑みどり。セゾンの試写室で著者の顔を見るなり「げっ、やばい!」と声を上げた岡崎京子。伊藤比呂美、重信房子、矢川澄子――ジャンルや時代や国を超えて語られる綺羅星たちのエピソードに夢中になっている内にあっという間に読み通せる一冊です。
今月は新書からもう一冊。元同僚・中野慧くんの単著が出たぞ! 「差別はいつも悪意のない人たちがする」という観点からすると、文化系リベラルが真に気を付けるべきは人種差別や性的差別の前に、無邪気に発しがちな体育会系差別とか営業差別とか、そっちの方のような気もします。
「体育会系」「野球部的」な根性論ってそもそもどこからきてんねん? という話を丁寧に読み解く主部は日本の近現代史としてもかなり読み応えがあり、野球やスポーツにまったく興味がない人にもおすすめ。黎明期には「エンジョイ・ベースボール」精神で遊ばれていた野球という競技でいきなりガチり出したのが旧制一高で……とかまったく知らなかったし、当時から「野球とかで学内の一体感を高めてるのはダサい、もっと文学とか哲学を学んで社会問題にも目を向けろ」という文化系の側からのカウンターパンチがあった、とか、現代でも「あるある」すぎて思わず笑ってしまう。笑える新書はいい新書です。
小芝風花の最高到達点としての瀬川
春ドラマもはじまりましたが、4月もっとも夢中になったのは大河ドラマ「べらぼう」。蔦重と幼なじみの瀬川の運命がひとつの結末を迎えます。小芝瀬川の演技は襲名から回を増すごとにすごみを増していき、ここにきて最高到達点を迎えた感がある。
立っているだけで内側から発光するようにうつくしく、声の抑揚のひとつひとつまで情感を湛えて、その尋常ならざる佇まいが却って「ずっと一緒にはいられない」2人の行く先を示してる。役者ってこんなこともできるのか……。いま『国宝』にはまってる人で「べらぼう」未見の方はきっと小芝瀬川が刺さると思うので、今からでも配信などで追いかけてほしいです。
小綺麗で汎用性高くてお値段も高すぎない4軒
振り返ると4月は(私にしては)おしゃれめなお店でご飯を食べてることが多かったです。どこも使い勝手のよいお店だったのでご紹介。
仕事の会食で赤坂の「ESSE DUE」にひさしぶりに行きました。相変わらずサラダもピッツァもおいしく、お酒もお手頃でいいお店だった。カジュアルめの会食からデートでも女子会でも使えるお店が和洋問わず赤坂には多い気がする。コロナでかなり減ってしまったけど+転職して生息エリアから微妙に外れてしまったんだけど、またいろんなお店再訪したいな。